kaiunmanzoku's bold audible sighs

Be love Be peace Be harmony Be compassion Be joy

Wherever there is a human being, there is an opportunity for a kindness. 引用・転載はご自由に。ただし、引用元・転載元だけ明記ください。 Feel free to copy and reprint but please just specify an origin of quotation.

ドイツにおける「戦場の性」 メルケル首相来日時のマスコミ報道に思う

メルケル首相が来日し、マスコミでは慰安婦問題に対する発言が注目を浴びている。
私が本日(2015年3月13日)午後5時30分にYAHOO!ニュースで「メルケル 慰安婦」と打ち込んで検索したところ、49件ヒットした(画像参照)。

f:id:kaiunmanzoku:20150313191949j:plain

 

ヒットしたもので上から10件の表題だけを書き抜いたものが下記だ。

 

  • 日本と中国で反応が真っ二つ、メルケル首相の歴史発言=韓国ネット「日本よ、認めてくれてありがとう」「反発するのは痛いところ突かれた証拠」Record China 3月13日(金)13時40分配信
  • (朝鮮日報日本語版) 【コラム】「『慰安所』前に日本兵が順番待ちで並んでいた」朝鮮日報日本語版 3月13日(金)11時19分配信
  • (朝鮮日報日本語版) 安倍談話に危機感、日本政界OBら有志団体結成朝鮮日報日本語版 3月13日(金)8時30分配信
  • 韓国メディア「日本人が疑問に思う誠意ある謝罪とは?」=韓国ネット「何を言っても無駄」「日本はうんざりしてるだろうね」Record China 3月13日(金)7時40分配信
  • 自民党の二階氏「慰安婦問題は解決していない」=韓国ネット「さすがメルケル首相!」「日本政府の言葉は矛盾だらけ…」Record China 3月13日(金)2時18分配信
  • 日本自民党総務会長「慰安婦問題、解決していないのは事実」中央日報日本語版 3月12日(木)11時46分配信
  • さすがメルケル首相…世界メディア「日本で老練な姿見せた」中央日報日本語版 3月12日(木)9時27分配信
  • (朝鮮日報日本語版) 「日本はナチスではない」 日本の右翼、独首相発言に反発朝鮮日報日本語版 3月12日(木)8時23分配信
  • 安倍首相はメルケル首相のアドバイスを戦後70年談話に活かせるか 木村正人 | 在英国際ジャーナリスト2015年3月12日 5時39分
  • メルケル首相、韓国ロビーに影響された?日本メディアの報道に「劣等感の表れ」「韓国にドイツを動かす力が?」―韓国ネット FOCUS-ASIA.COM 3月12日(木)0時11分配信

どの記事も、メルケル首相が日本に対して、遠回しに歴史を直視し、慰安婦問題解決への取り組みを促した旨を内容とするようだ。
さて、ドイツ政府が「人道に対する犯罪には時効がない」と称して、犯罪者追求と処罰、被害者に対する補償を進めてきたことは、認めよう。
しかし、問題は「慰安婦問題」である。西尾幹二著「歴史を裁く愚かさ」PHP研究書 1997年発行で指摘されたように、旧ドイツ軍の管理売春には責任者の追及も、補償の声も出ていなかったし、いまだ寡聞にして責任者追求がなされたとの記事を見た覚えがない。


ドイツでは、自国の慰安婦問題の所在すら一部の人間しか知らないありさまなのである。メルケル首相が直截的に日本の慰安婦問題に触れることは、避けざるを得なかったと推測される次第である。

 

日本の近現代史の一人者である秦郁彦先生の著書によれば、
「また来日して戦後補償や慰安婦関係の集会に参加したドイツ人運動家には、『ドイツの謝罪や保証を見習え』式のアピールを説いた人が少なくないが、今まで忘れられていたドイツにおける慰安婦の存在を日本で知らされ、『帰って補償問題に取り組む』決意を表明(九二年九月七日付朝日新聞)したモニカ・ピンゲン女史の例もある。
彼女が知った慰安婦文献とは、フランツ・ザイトラー『売春・同性愛、自己毀損ードイツ衛生指導の諸問題一九三九ー四五』Franz Seidler, Prostitition, Homo-Sectial, Selbstvertümmelung-Problem der deutschen Sexualititäsführung 1939-45, Neckargemünd, 1977, Kurt Vowinkel Verlag)という題名の本を指す。」
慰安婦と戦場の性」秦郁彦 1999年発行 株式会社新潮社 150頁

 

日本とドイツの慰安婦事情については上記の「慰安婦と戦場の性」に書いてある通り、類似点がかなり多い。その詳細は本を読んでほしい。
ドイツにおける戦時慰安所制度の解明は遅れているが、国防軍用だけでなく、アウシュビッツなど強制収容所の囚人向け、外国人強制労働者用の慰安所があったことが、明らかにされつつある。前掲「慰安婦と戦場の性」148頁。また、官憲による「強制」の証拠が見当たらない日本の例と異なり、「東方占領地とくにソ連ではスターリンが売春を禁じていたので(慰安所を)新設せざるをえず、慰安婦はしばしば強制徴用された。ドイツ本国への強制労働を拒否した若い女性は、代わりに慰安所で働かされた。」と『売春・同性愛、自己毀損ードイツ衛生指導の諸問題一九三九ー四五』の要点が紹介されている。前掲「慰安婦と戦場の性」151頁。

ドイツにおけるこの方面の研究にも期待したい。

また、マスコミと教育の関係者に置かれては、某国のプロパガンダ版の慰安婦象を国民や海外に垂れ流しすることなく、国内外の歴史家による調査を踏まえた公正な伝え方をお願いしたい。

 

慰安婦と戦場の性 (新潮選書)

慰安婦と戦場の性 (新潮選書)

 

 

Wherever there is a human being, there is an opportunity for a kindness. 引用・転載はご自由に。ただし、引用元・転載元だけ明記ください。 Feel free to copy and reprint but please just specify an origin of quotation.