第2回米朝首脳会談を終えたドナルド・トランプ米大統領の記者会見から
合意に至らなかった理由:
「寧辺の核施設廃棄プラスアルファを望んでいた。これまでの核施設以外に、われわれが発見したものがある」
「新たに発見したのはウラン濃縮施設」
「われわれが知っていた事実に北朝鮮は驚いていた」
マイク・ポンぺオ国務長官
「寧辺核施設以外にも非常に大規模な核施設がある」
「ミサイルも核弾頭の兵器システムも抜けていたので、核リストの作成や申告などで合意できなかった」
上記から読み取れるのは、情報戦で既に米国は勝利を収めていたということだ。
「寧辺より大きい核施設を隠し、核を放棄するふりをしていた」北朝鮮は、その事実を隠して「民間経済と人民の生活に支障を与える項目」について解除を求め、受け入れられれば「我々が考える最も大きな幅の非核化措置」として「寧辺の永久廃棄」をすると提案したが、その作戦は見抜かれていた。
ということになる。
また、米国から寧辺核施設以外に非常に大規模なウラン濃縮施設があること、ミサイル製造や貯蔵施設、核弾頭の兵器システム関連施設の数や位置の指摘を受け、北朝鮮は米国の情報力に驚くばかりで、それに対する対抗措置はしていなかったと見受けられる。
それが、真夜中に行われた李容浩(リ・ヨンホ)外相の釈明だ。
いい しげる - 大量破壊兵器の全面廃棄が約束できなければ制裁解除はない。... | Facebook
首脳会談の場で釈明が出来ず、狼狽するだけだったであろう。会談が打ち切られ合意文書の署名が見送られ、宿舎に戻って対策を練った末に外相のインタビューが行われたというわけだ。
しかし、この外相の釈明には北朝鮮の体面を保つための苦しまぎれの事実の糊塗があった。
「寧辺の廃棄を唯一無二の案」としてそれ以外の案を持っていなかった北朝鮮は、首脳会談の場で「寧辺より大きい核施設を隠し、核を放棄するふりをしていた」ことがバレてしまったことを国際社会から隠す必要があった。そこで「我々が考える最も大きな幅の非核化措置」として「寧辺の永久廃棄」をしたのにも拘らず「米国は『北朝鮮が寧辺の廃棄のほか一つを追加しなければならない』と主張し」たとして、合意文書の署名に至らなかった責任を米国に転嫁しようとした。
おそらく首脳会談の席では、北朝鮮は「寧辺の核施設廃棄プラスアルファ」のアルファ部分を「この施設(非常に大規模なウラン濃縮施設)にしたらどうか」と、米国から提案を受けた事だろう。しかし狼狽した北朝鮮外交団は(独裁的な最高権力者が会談の場にいるにもかかわらず)決定することが出来なかった。
おそらく、金正恩といえども、軍に無断でその存在すら最高機密(帯同した外交官も外相以外は知らなかった?)である施設を不倶戴天の敵である米国に指し示されるままに処断するわけにはいかなかったのだろう。
それが、手ぶらで帰国することになった原因だ。
つまり、“寧辺核施設以外に非常に大規模なウラン濃縮施設があること”を隠して米国を騙しとおせると思っていた北朝鮮は、米国の情報力に屈した。それが今回の米朝首脳会談の姿である。
余談:画像の吹き出し部分は下記を参考の事。