WHに限らず、米国の原子力産業は原子力発電所の設備建設に数十年という長期間のブランクがあった。オバマ政権下で発電所建設が推進されるにあたり、日本の企業との合併はそのギャップを埋めるはずだった。
その一方で、東芝の原子力部門は沸騰型原子炉から出発しWHの加圧型原子炉を製品群として加えることで世界の原子力発電のリーダーを目指していて建設畑のノウハウのギャップを埋めるはずの米国側と相互補完の関係になるはずだった。
しかし、結果は米国での工事管理はWHに丸投げされていたかのようだ。海外で発電プラント建設経験豊富な東芝は何をやっていたのか。経営をその権限ごと丸投げして請負わせていたのだろうか。米国の最先端技術を日本の親会社にも渡すまいとするなら、建設管理のノウハウも渡しようがないだろう。
残念ながら、今まで見て来たどの記事もどの報道もその視点を欠き、そんな現実が生じたかどうかすら知りようがない。
いま、チャイナや南鮮の企業がWHを取得したところで、米国の企業の技術だけを物まねできると思ったら大間違いだし、彼らにその技術を渡すべきではない。チャイナは敵だし、南鮮は敵に渡るかもしれない。
東芝から(原子力だけではなく)電力部門を、その付随する全てのエンジニアリング部門を含めて切り離し、IHIや日本製鋼所、その他の発電関連部門と合併して三井住友重工を作るべき時が来た。かの土光さんの時代に浮上した「三井重工案」の現代版を検討すべきだ。そしてWHはその傘下に入れるべきだ。
現代版という言葉を使っているのは IoT 等のインフラを伴う社会的需要に答えるだけの国際的競争力を持った新しい企業形態を、この際模索すべきだという意味である。
*上記はFBに【三井重工を創設せよ】として掲載したものを手直しした。