朝令暮改こそ大相撲の権威を汚す
大相撲巡業の主催者として、公の場で土俵に上がったらしい。
記事によると、「皇后陛下でも大相撲の土俵に上がれないことはワタシも知っています。恐れ多くて土俵には上がれません」と断ったが、前田山に強く勧められて、1957(昭和32)年3月末。若緑関が主催となった巡業が北条で開かれた時に紋付きの着物姿で上がったそうだ。
前例踏襲を伝統の根拠とするなら、既に前例はあるということだ。つまり、大相撲本場所では前例がないが、巡業では既に前例があって、女相撲の大関を務め大相撲の巡業の主催者であれば土俵に上がることは認められることがあるということだ。
伝統を本当に守り抜く気ならば、この例以外にも既に前例のあることは、きっちと把握して整理し、矛盾が起きないように理論武装したうえで行動要綱を作成して順守していくべきだ。
やみくもに朝令暮改したり、前例を追及され返答に窮して右往左往するような愚を犯すべきではない。それこそ神事であり文化である大相撲の歴史と伝統、その権威を汚すことだ。
女人禁制については、相撲協会は本場所の伝統だけでも守れれば良しとすべきだし、それだけは死守していくべきだろう。
大相撲春巡業で関取が子どもに稽古をつける「ちびっ子相撲」に参加予定だった女児が、日本相撲協会の要請で土俵に上がれなかった問題
女児について「今迄良かったのに、今回駄目だった。」等の話が出ること自体が情けない。なし崩しの伝統崩壊を認めたくなければ、今まで何を許して何を許してこなかったかを整理して意思統一して取決めるべき、そして皆で管理出来るようにすべきだ。
女児を土俵に上げないのは安全確保と芝田山広報部長「顔に傷が残ることになってはいけない」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース
その他の提言
危機管理体制を構築すべし:土俵下に男性医師と看護師や救急救命士等を待機させる。
なし崩しの伝統崩壊より、前例のあることは既成事実化すべし:伝統に例外は極力なくすべきであるから、既に前例が出来てしまったものは新しい伝統として取り入れる。上で書いたように朝令暮改されるような「伝統」は伝統ではない。一度本物の伝統が途絶えればその責任は取りようがない。その覚悟が最初から必要なのにも係わらず起こってしまったのは取り返しがつかないからだ。その代り、例外なく続いている伝統は、それこそ文字通り死守しなければならない。
下の画像はリンク 大相撲の伝統は伝統としても、神事として奉納される女相撲そのものが優に100年を超える歴史を持つことも歴史的事実として押さえておくべきだろう。
山形は明治~戦前は女相撲が盛んだった。
豆知識:天覧女相撲
日本書紀巻第十四雄略天皇十三年九月に女相撲が記載されている。
しかも、この女相撲「天覧相撲」です。
秋九月、木工韋那部眞根、以石爲質、揮斧斲材、終日斲之、不誤傷刃。天皇、遊詣其所而怪問曰「恆不誤中石耶。」眞根答曰「竟不誤矣。」乃喚集采女、使脱衣裙而著犢鼻、露所相撲。於是眞根、暫停、仰視而斲、不覺手誤傷刃。天皇因嘖讓曰「何處奴。不畏朕、用不貞心、妄輙輕答。」仍付物部、使刑於野。爰有同伴巧者、歎惜眞根而作歌曰、
婀拕羅斯枳 偉儺謎能陀倶彌 柯該志須彌儺皤 旨我那稽麼 拕例柯々該武預 婀拕羅須彌儺皤
天皇聞是歌、反生悔惜、喟然頽歎曰「幾失人哉。」乃以赦使、乘於甲斐黑駒、馳詣刑所、止而赦之。用解徽纒、復作歌曰、
農播拕磨能 柯彼能矩盧古磨 矩羅枳制播 伊能致志儺磨志 柯彼能倶盧古磨
一本「換伊能致志儺磨志、而云伊志歌孺阿羅麻志也。」
「乃喚集采女、使脱衣裙而著犢鼻、露所相撲」の部分ですが、適当に訳すと
采女(給仕の女官)を呼び集めさせて、着物を脱がせ、ふんどしをつけさせて、その姿が見える(目につきやすい)場所で相撲をとらせた。