世界最重要の意志決定機関がG7からG20に交代し、米英が西欧諸国や日本、カナダなどを率いる形で先進諸国を団結させる組織としてのG7は衰退した。同じように米英の地位も衰退したのだと、最近のAIIB参加問題を取り上げるときに説明されることがある。
確かに米国の地位は国際的取り決めの多くがG7からG20でなされる傾向によって落ち続けているように見える。また、G7における米英の指導的役割もG20では目立たなくならざるを得ない。
しかし、その背景にあるのは米国の衰退ではない。米国の国家的資源を活かしきれていないオバカ民主政権の内向的思考にあるのだ。
オバカは、ソ連崩壊後の社会における「大規模な平和の配当」を国民皆保険、教育、雇用に充てようとしたE.M.ケネディの発想をまねている。
アフガン、イラク戦後の米国財政をブッシュ共和党政権の責任だと位置づけ、世界唯一のスーパーパワーである地位を維持するために、「大規模な平和の配当」金を費やしてはいけないと考えた。そして「大規模な平和の配当」金は、国民皆保険、教育、雇用に充てられるべきだと考え、それを実行した。
そのために「もはや米国は世界唯一のスーパーパワーではない」と世界に宣伝さえした。この巧妙な宣伝により世界は惑わされてきた。同盟国ですらだ。
その結果が、同盟国をして現在の米国離れを引き起こしているに過ぎない。
依然として米国は世界唯一のスーパーパワーなのだ。
AIIBは、米国の政策次第では「机上の空論」と化す。
ただし、米国が「その気になれば」である。
米国と西側諸国が戦わねばならない敵はオバカの宣伝を利用し、少しづつ台頭し続けている。敵が実力をつけ実力で攻撃可能となるまで座して待つのが「外交」というのなら、そのつけは高くつくだろう。