沖縄の宮古の伊良部島に伝わる「太陽神の嫁」と言う話。
引用は http://totoro820.ti-da.net/e3160646.html からです。
古事記の中にある、海佐知と山佐知の話との類似点に注目願いたい。
意地悪な兄と献身的な弟。わだつみの国にむかった山佐知と沖縄宮古の伊良部島の位置関係。トヨタマヒメが井戸に水を汲みに行き山佐知に出会う下りは、娘と太陽神に符合。鵜萱草萱不合命の出生のごとく茅葺の小屋ができる前に産気づく娘の描写。娘の相手はこの世のものではない太陽神(虚空津日子《ソラツヒコ》=火袁理命《ホソリノミコト》=山佐知)である。太陽神と娘の別れ。類似点が多く、太古の時代の西南諸島と天孫降臨直近の九州南部とのつながりを感じさせる。
海神(わだつみ)とは、他の日本の神々を産んだ伊邪那岐と伊邪那美の間から生まれた神であり、その国とは、海洋民族であった古代日本人が高千穂から海流に乗って渡れる島であり、あまり遠くない血族が住む島であったに違いない。
+++++++++++引用文+++++++++
この話は、宮古の伊良部島(いらぶじま)で、ずっと昔から語り継がれてきました。
比屋地(ぴゃーず)の神はとても綺麗であり、それはそれは美人だったそうです。そのため太陽の神が自分の妻に欲しがったそうです。
或る日のこと、その美人は朝、便所に坐わっていたところ、太陽の神の手のように光が射し込んできて妊娠したそうです。
すると家の長男である兄は、結婚もしていないのに妊娠するとは何てふしだらな女かと怒こり出し、妹に向かって言うことには、
「お前など、何処かへ行ってしまえ。父の顔も知しらない子を身籠もるなど、一族の恥だ。今直ぐ出て行け。お前のようなやつには何もやらない。」と言うなり、家を追い出してしまったのでした。
それを見ていた二番目の兄が追い掛けてきて、妹に優しく言うことには、
「身重のお前一人で暮らすなど、出来る筈ずがない。私が一緒に行ってお前を助けるから何も心配することはない。」と、そう言って、ついて来ました。
その兄は、茅葺の家を作り始めました。そして、まだ屋根に茅を載せないうちに、子どもが生まれたそうです。
それでも無事に子どもは生まれ、兄妹二人はとても喜びました。
そして、生まれて七日目の日、天から綺麗な着物や美味しい御馳走などが落ちて来たそうです。
それで初めて二人は、この子が天の神さまの子どもだったのだと理解しました。
生まれて十日目にも、また御馳走が落ちて来ました。
そういったことがずっと続いて、次の年の誕生日に、大層綺麗な馬が、同様に綺麗な人を乗せて庭に降りて来たそうです。
すると馬を見た子どもは、自分も馬に乗ると言って聞きかず、いくら危ないからと言い聞かせても乗るの一点張りです。そして、少しだけのつもりで馬に乗せてみたところ、あっという間に何処かに連れ去られてしまいました。
いくら神の子とはいえ、母がとても心配したのは言うまでもありません。
次の年の同じ日のこと、子どもが馬に乗って戻ってきました。
母が言うには、一番上の兄には話を少しも聞いて貰えず、一方的に家を追い出されてしまい、二番目の兄亡なき今、私には兄妹がないも同然です。私もまた一番上の兄をもはや兄とは思っていません。
ですから自分には、何処かにいるはずの夫と、あなたをおいて、身寄りは他にありませんと言い、それから一緒に馬にのると、天に上がって行きました。
親子二人で天に昇ってみると、太陽の神が待っていました。
そして言うことには、
「お前は、父のない子ではない。私こそが父である。
お前達に伊良部島を与える。
そこへ降りて行って、伊良部の土地の主として暮らすがよい。」と。
そして神は二人を島に降ろしたそうです。
こうして、子ども神と母神として、二人は比屋地(ぴゃーず)の神になったそうな。
※この話の参考とした話
①沖縄県宮古郡伊良部町前里添~『沖縄の昔話』
②沖縄先島・沖縄県平良市池間島~『池間島の民話・梗概』
③同上~同上
④沖縄先島・沖縄県宮古郡伊良部町池間添~『南島方言の記述的研究』
⑤沖縄先島・沖縄県宮古郡伊良部町佐良浜~『日本神話と琉球』
Posted by 横浜のtoshi