『日本書紀』
「豊葦原(とよあしはら)の千五百秋(ちいほあき)の瑞穂(みずほ)の國 は、是(こ)れ吾(あ)が子孫(うみのこ)の王(きみ)たるべき地(くに)也。宜しく爾皇孫(いましすめみま)、就(ゆ)きて治(しら)せ。行矣(さきくませ)、寶祚(あまつひつぎ)の隆(さか)えまさむこと、當(まさ)に天壤(あめつち)と窮(きわま)り無かるべし。」
「葦原千五百秋之瑞穗國、是吾子孫可王之地也。宜爾皇孫、就而治焉。行矣。寶祚之隆、當與天壤無窮者矣。」
『古事記』
「ここに天照大御神、速須佐之男命に告りたまひしく、「この後に生まれし五柱の男子は、物実(モノザネ)我が物によりて成れり。故、自ら吾が子ぞ。」
「於是天照大御神。告速須佐之男命。是後所生五柱男子者。物實。因我物所成。故自吾子也。」
「天照大御神、高木神の命(みこと)以ちて、問ひに使はせり。汝(いまし)が宇志波祁流(うしはける)葦原中国は、我が御子の知らす国ぞと言依(ことよ)さし賜ひき。」
「天照大御神・高木神之命以、問使之。汝之宇志波祁流葦原中国者、 我御子. 之所知国、言依賜。」
「ここをもちて曰ししままに日子番能邇邇芸命に詔を科して「この豊葦原水穂国は 、汝の知らさむ国ぞと言依(ことよ)さしたまう。故、命の隨(まにま)に天下るべし。」
「明命次日子番能邇邇藝命 二柱也 是以 隨白之科詔日子番能邇邇藝命「此豊葦原水穗國者汝將知國言依賜故隨命以可天降」
『万葉集』巻十八 大伴家持
「葦原の 瑞穂の国を 天下り 知らし召しける 皇祖の 神の命の 御代重ね 天の日嗣と 知らし来る 君の御代御代 敷きませる 四方の国には 山川を 広み厚みと 奉る みつき宝は 数へえず 尽くしもかねつ 」
北畠親房『神皇正統記』巻一
「大日本は神国なり。天祖はじめて 基をひらき、日神ながく統を伝へ給ふ。 我国のみ此事 あり。異朝には 其たぐひなし。此故に神国と云ふなり。」
「伏犠氏の後、天子の氏姓をかへたる事三十六。乱のはなはだしさ、云にたらざる者哉。唯 我国のみ天地ひらけし初より今の世の今日に至まで、日嗣をうけ給ことよこしまならず。一種姓の中におきてもおのづから傍より伝へ給しすら猶正にかへる道ありてぞたもちまし<ける」
『宋史』日本条
「上聞、其國王一姓傳繼、臣下皆世官、因歎息、謂宰相曰「此島夷耳、乃世祚遐久、其臣亦繼襲不絶。此盖古之道也。中國自唐季之亂、寓縣分裂、梁・周五代、享歴尤促、大臣世冑、鮮能嗣續。」
「太宗は、その国王は一つの姓で継承され、臣下もみな官職を世襲にしていることを聞き、嘆息して宰相にいうには、「これらは島夷にすぎない。それなのに代々の位は遥かに久しく、その臣もまた継襲して絶えない。これは思うに、古の道である。中国は、唐末の乱から中国が分裂し、梁・周の五代は歴をうけること最も短く、大臣の世家はよく嗣ぎ続けることが少なかった。」
『ドン・ロドリゴ日本見聞録』
「彼らのある種の伝承・記録から知られるのは...神武天皇という名の最初の国王が君主制を始め、統治をおこないだしたのは、主キリスト生誕に先立つこと六六三年も前、ローマ創建から八九年後だということである。日本がまことにユニークな点は、ほぼ二二六〇年のあいだ、同じ王家の血統を引く者一〇八世代にもわたってあとを継いできたことである。」
『ベルナルディーノ・デ・アビラ・ヒロン 日本からの報告』
「彼らのもろもろの文書やきわめて古い書物は、最初の日本国王である神武天皇がその治世を始めたのは二二七〇年以上も昔だと明言している。」
『エンゲルベルト・ケンペル 日本誌』
「“宗教的世襲皇帝”の王朝は、キリスト以前の六六〇年がその始まりである。…この年からキリスト紀元一六九三年にいたるあいだ、すべて同じ一族に属する一一四人の皇帝たちがあいついで日本の帝位についた。彼らは、日本人の国のもっとも神聖な創建者である『テンショウダイシン』(天照大神、あまてらすおおみかみ)の一族の最古の分枝であり、彼の最初に生まれた皇子の直系である等々のことを、きわめて誇りに思っている。」
山鹿素行『中朝事実』
「ひとたび打ち立てられた皇統は、かぎりない世代にわたって、変わることなく継承されるのである。……天地創造の時代から最初の人皇登場までにおよそ二〇〇万年が経ち、最初の人皇から今日までに二三〇〇年が経ったにもかかわらず……皇統は一度も変わらなかった。」
福澤諭吉『帝室論』
「我帝室の一系万世にして、今日の人民が之に依て以て社会の安寧を維持する所以のものは、明に之を了解して疑わざるものなり。」
福澤諭吉『文明論之概略』
「わが国の皇統は国体とともに連綿として外国に比類なし。……君[と]国[との]並立の国体といいて可なり。しかりといえども……これを墨守してしりぞくは、これを活用して進むにしかず。……君国並立の貴き由縁は、古来わが国に固有なるがゆえに貴きにあらず。これを維持してわが政権をたもち、わが文明を進むべきがゆえに貴きなり。」